思索日記

本を読んで思ったことを書いてます。

[幸せな社会をつくるには] 序章 現代における幸福の誤解

今更取り立てて言うまでもなく、SNSでの見せかけの幸福アピールは多くの人にとって何の得にもなっていない。あまり投稿していないという人にとっても、「完璧な瞬間」が次々と流れてくるタイムラインを眺め続けて、自身とのギャップで惨めな思いをした経験が…

英単語学習アプリ 公開のお知らせ & ChatGPTでアプリ開発はどの程度できるのか?

ごあいさつ 本日、私たちの最新のスマートフォン向け単語学習アプリ “FlashCard(仮)” をリリースできることを光栄に思います。 なんちゃって。*1 この記事では、アプリ公開のご報告と簡単なご紹介をさせていただき、その他開発にまつわる雑記を書き留めてお…

2023年に読んだ本

週1冊程度は読んできたけど紹介するほど良かった本が10冊なかった。しかし1と2はいきなり殿堂入りするくらい良かったので、今更だけど紹介。今回紹介するのは5冊です。*1 *1:アイキャッチ画像はAI生成: https://chat.openai.com/g/g-05Df7Ag8o-samunegaru

あなたがChatGPTを使うときに起きていること

このビルは外から見れば放置された廃墟のようにも見えるが、内部では日夜、低賃金の労働者たちが交代制で働いている。空気は重たく、壁は剥がれ落ち、床は埃で覆われている。閉塞感に満ちたこの空間で、彼らの目は疲れきり、生気を失っているが、ミリ秒単位…

たくさんの方に無償で乗せてもらい、贈与について考えた[出雲大社ヒッチハイク体験記/後編]

前回のあらすじ。失恋をきっかけにエネルギーを発散すべく、出雲大社へ向けてヒッチハイク旅を開始。1日で4組に乗せていただき京都まで到達したものの、2日目は足踏み。自分探しの旅じゃないのに自分が見つかった。 tomato10.hatenablog.com 3日目 出会いい…

出雲大社までヒッチハイク旅したら自己発見できた[出雲大社ヒッチハイク体験記/前編]

ふとした思いつきから内省と思索の旅へ。神奈川から出雲大社までのヒッチハイクで、予期せぬ自己発見を経験した4泊5日の記録。 はじめに - 旅の動機 - 10年友達関係が続いて、昨年頭から1年間付き合った恋人と年末に別れた。 失恋の詳細はどうでもいいので省…

質的な差が量的な差に還元されていくのは面白い[「君のクイズ」読書感想]

「君のクイズ」の面白さは、「質的な差が量的な差に還元されていく過程の面白さ」で説明できると思った。 ※本記事は小川哲「君のクイズ」のネタバレを含みます。

知識の資本主義 知識や手順を再利用可能にしておくことは、複利的に価値を生み出す

本を読んで得た知識、いつもやる仕事の手順やTipsを面倒くさがらずにまとめておき、再利用可能な状態にしておくことは、結果的に複利的な価値を生み出す。 理由を二つ挙げる。第一に、再利用可能なナレッジは、認知資源と時間を節約する。この再利用性は一時…

消費資本主義![本紹介・読書感想]

タイトルから想像できるように消費主義批判の本・・・ではあるんだけど、メイントピックはそれじゃない。 これは進化心理学の本であり、マーケティングの本だ。・・・いや本当だって! だから本書と関連するのは「資本論」ではなく、次のような本が該当する…

男は独自性で、女は協調性で性的自己アピールをする?:動機付けが同調性に与える影響について

本記事は元論文の全訳ではなく、面白いと思った部分をピックアップしてエンタメとして紹介するものです。 元論文: Griskevicius, Vladas et al. “Going along versus going alone: when fundamental motives facilitate strategic (non)conformity.” Journal…

どこかにビューーン!でねぶた祭の青森にスマホなし旅してきた

情報量が多いタイトルになってしまった。JR東日本のサービス「どこかにビューーン!」というのを使ったというのと、青森にねぶた祭を見に行ってきたのと、スマホを家において旅行してきた という三つを一度にやったので記事にしてみました。

2022年に読んだ本

昨年は「インプットを重視していたのでそんなに更新できませんでした」とか言っておいて、そんなに数読んだわけではなかったですね。 今年は仕事がめちゃくちゃ忙しかったのですが、活字を追うペースが上がったのと、本を読むことで心と精神を仕事から解放で…

二項分布によれば、俺は勉強しなくても応用情報受かる

明日10月9日は応用情報技術者試験 秋期の試験日です。 IT業界入って5年目で今更感ありますがまあ持ってないのもどうかなと思ったので明日受けてきます。 最初のころは必死こいて勉強してたのですが、途中から「あれ、これもう頑張らなくてもいけるわ」と気づ…

仕事の楽しさについて 第1回

私はいわゆるIT会社に勤めており、主にプログラムを書いたりソフトウェア製品の開発をする「開発チーム」という部署で働いています。 2022年3月。爆発的な広がりを見せた新型コロナウイルス・オミクロン株の感染の勢いが少しずつ落ち着き始めてきた頃、うち…

さびしさ、欲望および自己実現の一般理論

2021年の秋、私の大好きなPodcast番組であるコテンラジオが 性の歴史 という大変興味深いシリーズを公開しました。 私はサピエンス全史 以来、常識が揺らぐタイプの知的好奇心を追い求めていたため、このシリーズにはどハマりしたのですが その後のコテンラ…

心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える [要約]

練習を兼ねてグラレコ風にまとめてみました。 奥付 心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える 発行 2020年 初版第1刷 著者 石井遼介 発行所 日本能率協会マネジメントセンター

欲望とのつき合い方 [ウィリアム・B・アーヴァイン「欲望について」本紹介・読書感想/後編]

この記事は 欲望について [本紹介・読書感想/前編] の続きです。先に前編をお読みになることを想定した内容になっています。 前編では、本書の紹介とざっくりとした内容について説明を僭越ながらさせていただきました。 この後編では、本書を読んで気になっ…

欲望について [本紹介・読書感想/前編]

「欲望について」はタイトルの通り、人間の欲望について語った本です。約半分は心理学・生物学的な側面から、もう半分は哲学・宗教的な側面から語っていて、バランスがいいのが特徴です。 多角的な分析により知的好奇心がくすぐられるし、見る視点は違っても…

2021年に読んだ本

2021年はインプットを重視していたので読書感想を全然書けませんでしたが 読んだ本の記録だけはつけておきますー 1. 「幸せをお金で買う」5つの授業 著者: エリザベス・ダン tomato10.hatenablog.com 2. 仕事は楽しいかね? 著者: デイル・ドーテン コテコテ…

デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義

『デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義』は、デンマーク幸福研究所の所長であるマイク・ヴァイキング氏による2018年日本語版出版の本です。本書では、幸福とはなんなのか?定義できるものなのか?どうやって幸福を測るのか?などの幸福研究の成果や…

「幸せをお金で買う」5つの授業

『「幸せをお金で買う」5つの授業』は、心理学者のエリザベス・ダン氏とハーバードビジネススクール准教授のマイケル・ノートン氏による、2014年の本(日本語版)です。 本書はお金を使って幸せを買う方法、別の言い方をすると お金から効率よく幸せを引き出す…

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」は、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏による、人類史の書籍です。 人類史というと以前このブログでも紹介した「銃・病原菌・鉄」のようなテーマですが、サピエンス全史はサブタイトルにもあるように…

ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?

「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンによる2012年の著書です。内容の分野は行動経済学・心理学で、サブタイトルの「あなたの意思はどのように 決まる か?」に表れているように、人…

EVM: Earned Value Management

EVM(Earned Value Management)とは プロジェクトの進行状況を、スケジュールとコストの面から指標を用いてモニタリング・予測するためのツール。 核となる考え方は、 スケジュールと進捗をコスト換算 することにある。 用語 EV: Earned Value 出来高。「完了…

失敗の本質 日本軍の組織論的研究

失敗の本質 日本軍の組織論的研究 は、戸部良一・野中郁次郎らによる、大東亜戦争*1 における日本軍の戦い方を分析・反省し、教訓を抽出した本です。 本書冒頭で語られていますが、本書は純然たる戦史研究の本ではないです*2 。また、大本営レベル = 政治レ…

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣は、スウェーデンの医師ハンス・ロスリング氏とその息子・息子の妻によって書かれ、2019年に日本語版が出版された書籍です。2019年のビジネス書では、トップクラス…

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白

稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」は、北海道で銃器犯罪を取り締まっていた警察官である著者の自伝で、稲葉事件 を扱った本です。 日本で一番悪い奴ら というタイトルで映画化もされています。 著者は警察官なのですが、覚醒剤使用、覚醒剤営利…

銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄 は、アメリカの進化生物学者ジャレド・ダイアモンド氏が1995年に書いた、人類史の本です。ちょっと古いですが、今でも書店で普通に見かける人気の本です。 人類史の本といえば、圧倒的に人気になったサピエンス全史という本がありますが、雰…

リーダブルコード より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック

リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック(以下リーダブルコード)は、読みやすいコードを書くためのヒントを紹介したオライリーの名著です。2019年9月時点で23刷まで行っているベストセラー本です。 プログラムを書く際に…