思索日記

本を読んで思ったことを書いてます。

どこかにビューーン!でねぶた祭の青森にスマホなし旅してきた

情報量が多いタイトルになってしまった。JR東日本のサービス「どこかにビューーン!」というのを使ったというのと、青森にねぶた祭を見に行ってきたのと、スマホを家において旅行してきた という三つを一度にやったので記事にしてみました。

どこかにビューーン!とは

JR東日本のサービスで、JREポイント*1 6000ポイント *2 で「JR東日本の新幹線のどこかの駅に、ランダムで旅行できる」というもの。6000ポイントで新青森や新潟、上越妙高などかなり遠くまで(東京起点でいうと) 往復で行ける可能性があるが行き先は選べないためエンタメ性が高い。

ルール(正確なことは公式ホームページをみてね)

  • 往復分の新幹線指定席特急券+乗車券が利用可能。利用にはSuicaによるチケットレス乗車が必須。(モバイルSuica可)
  • 行き先は直前ではなく、申し込みから数日程度で発表される。
  • 途中下車や途中乗車が可能。ただし途中下車したら、降りた以降の分の切符は取り返せない。(行きと帰りは別なので、行きに途中下車したとしても帰りは捨てた区間も復活する) これを活用すれば、仮に(東京から見て)新青森上越妙高などの遠くの行き先に当選した場合、そこまで行かずに手前を目的地とすることも可能。

準備編

青森に行こうと思った理由

前述のどこかにビューーン!を使って新青森駅が選ばれたため、青森に行くことにした。遠くに行きたかった自分にとっては結構当たり!しかも調べてみると、なんとねぶた祭の期間じゃありませんか!(8/1〜8/6) とてもいい機会なので、青森市ねぶた祭を見に行くことにした。手前を目的地としてしまうこともできたけど、せっかくならねぶた祭見たいので迷わず青森に決定。

スマホなし旅について

スマホなし旅をしようと思った最初のきっかけは忘れた。デジタルデトックスしたいと漠然と思っていたような。あと仕事が忙しすぎて、文明から身を置いてぼーっとしたかったのもある。もともとどこかにビューーン!を使ってみたくて、せっかくなら旅行をより楽しくするスパイスないかなと考えて思いついた。

ふかわりょうさんの本には影響されていない、けど帰ってきてから読んだ。旅行の申し込みをして、スマホなし旅もありかもな、、と思ってWebで調べているうちにそういう本があることを知った。事前に読んでから行くことも考えたけどネタバレ(何の?)になりそうなのと自分は自分なりのスマホなし旅をしたかったのであえてやめた。

持ち物は写ルンです、水彩絵具、トラベラーズノート、文庫本、あとは普通に旅行するための道具にした。Apple Watchだけ身につける、という選択肢も当初は考えたけど結局やめた。(それだけあってもたいしたことできないし…。) 普段本を読むのはKindle派(専用端末)なので、これを持って行くことも考えた。かさばらないし。でもAppleWatchもおいていくしデジカメではなく写るんです使うことにしたし、せっかくなら完全アナログ旅にしてみようかなと思ったのでアナログ本に切り替えた。あとはえきねっとチケットレス(どこかにビューーン!含む)の利用のためにわざわざSuicaを買った。普段はiPhoneモバイルSuicaを使っているため、リアルカードが必要になったので。

旅の感想

1日目(8/2)

新幹線を降りて真っ先に三内丸山遺跡に行った。行く前には「新青森駅のすぐそばだし、もしかして新幹線駅開業のための事前調査の最中に発掘されたのかな?」と思ってたけど実際は全然違った(野球場建設のための調査だった。あと調査が本格化したのがそれがきっかけなのであり、遺跡の存在が知られていたのはもっとずっと前からだったみたい)。資料館に発掘調査時の新聞がおいてあったけど発掘当時は遺跡の存在に震えるほど驚いただろうなぁ。当時知られていた縄文時代最大の遺跡よりもさらに古くて大きいことが判明したんだもんね。

遺跡の後は夕方から青森市内に移動。列車内に浴衣の人がいてちょっとお祭り気分。さらに青森駅でおりたらホームからあふれそうなほど大量の人で期待度が上がる。

ねぶた祭りは想像以上に良かった。青森ってこんなに人いたんだ!(失礼)と思うほどたくさんの見物客。めちゃくちゃ盛り上がってた!青森の人のねぶた愛を感じた。みんな生き生き、キラキラ笑顔で楽しそうだった。お祭りを見ている人と参加者がしっかりわかれているのが意外だった。

あと、こんなところで資本主義のメリットを感じた。ねぶたって地元の商工会や市役所、幼稚園や子供会などが出していたりするんだけど、企業の協賛がついている(主催もあるのかな?)ところもたくさんあって。大きなところだとマルハニチロ、日立、パナソニック、コカコーラなど。大きなお祭りをやるためにはお金もそれなりに必要で、こういった企業がお金を出してくれているから成り立っている側面もあるんだーなと。そして、こういった企業がお金を出せるのって利益を出しているからで、利益を出せているのは資本主義のおかげでもあって*3 。仮に資本主義に頼らずお祭りを維持していこうと思ったら、町の人間一人一人が「お祭り維持しよう!」って意識を持って寄付するか、あるいは税金でやるとかになるけれど・・・ それよりはこういったことに前向きな協賛企業がどかんとお金を出してくれる方が現実的な解決策だと思うのよね。それって売名じゃん偽善じゃんって言う人いるかもしれないけど、自分は偽善だとしても立派な行動だと思うぞー。

あと青森の人のりんご愛ももっと感じた。青森県内どこにいっても「りんご」「ねぶた」だらけ。ビジネス的に言えば選択と集中ができていて良い事だと思う。神奈川県の名物なに?っていわれたら1つに絞れないしな。。

2日目(8/3)

2日目は青森駅からリゾートしらかみに乗ってみた!途中津軽三味線の演奏があったり、千畳敷駅で降りて写真撮ったり。観光バス感覚でまさに乗って楽しい列車だった!車内アナウンスはいつもの車掌さんなのが惜しいなと思った(もっと楽しげな感じで、バスガイドさんみたいなの投入してもいいのよ)。深浦で降りてぶらぶら、帰りは普通列車弘前へ。

弘前城を目指したけど時間がなくて結局中には入らなかった。弘前公園には行った。弘前公園前にたくさんねぷたがスタンバイしていた。今日もねぶた見たいなと思ったけどレンタカーの時間を変更するのが難しそうだったのでやめた。もっとゆっくりしたかったけど仕方なし。そもそも弘前周辺に宿が取れなかったので。。

その後は予約しておいたレンタカーをとりに七戸十和田駅に移動。なぜこんな大回りで?と思ったあなたは正常です。弘前も青森も、レンタカー・宿ともに全滅だったのだ(ねぶた祭りのためどれも埋まっていた)。なので十和田湖に宿をとり、七戸十和田駅からレンタカーで移動するという旅程になってしまった。

一日の旅程として「五能線にも乗るし弘前もまわって夜には十和田湖まで行くの!?」って思ったあなたも正常です。正直五能線はあきらめるべきだった。リゾートしらかみって片道で乗って、行きは青森で・帰りは秋田で乗り換えるものだと思うのよね。今回はどこかにビューーン!使用なので行きも帰りも青森市内になってしまうこと・直前に発生した豪雨災害の影響で五能線の一部区間が運休だったこともあり、五能線に乗るなら必然的にこのような形に決まってしまったのだけど、中途半端な形の旅行になってしまったな。

レンタカーを借りたら真っ暗な十和田道を走って十和田湖へ。動物が3回4回くらい横切って焦った。本当に真っ暗で自分の他に十和田湖目指している人なんておらず、すんごい怖かった。。 途中まで寂しさと怖さを紛らわしてくれていたカーラジオも電波が途切れ途切れになってしまい怖さを増長。スマホないので脱輪したら終わり、というのが脳裏によぎる。途中チェックインに遅れそうになったので10年以上ぶりの公衆電話で宿に電話。事前に電話番号メモしておいて良かったぁ。

3日目(8/4)

今日はもともとの計画でのんびりするつもりだったので予定なし。十和田湖周辺でみどころがあればそこに行くつもりにしたが、自分の力では見つけられなかったので気がついたらレンタカーで道の駅巡りしてた。それでもやっぱり(念願の?)暇ができたので、いろいろのんびり考え事。自分が本当はどんな仕事したいのかについて。あと、暇になると親和欲求が強くなるようで恋人のことを頻繁に思い出したり。

昼間めぐった道の駅のうちいくつかはほどほどに賑わっていたけどいくつかは閑散としていて、この違いはなんだろうか?と考えていた。 前から漠然と暖めている、人の熱意やエネルギーに関する比喩があって、それをあてはめることができそうだなとさらに確信を強めたので書いてみる。人のエネルギーは炎やたき火に喩えられそう。大きな炎は高いパフォーマンス。小さく燻っている、あるいは熾火になっているようなものは静かな(でも長続きする)熱意。1本の枝や薪ではなく、たくさん一カ所に集めると大きな炎になるのも人と似ている。一人よりも多人数で協力したほうが大きな事を実現できる。大きなたき火にしたくても、最初は太い薪に火がつかないのも人間と似ていて、小さなことから・実現しやすい(着火しやすい)ところからスタートするとやりやすい。火のつきやすい差が素材によって違うのもそっくり。着火しづらくても、静かにめらめら燃えているような人もいる。

今回さらに気づいたのは、「人々のエネルギーを継続的に発揮させるためには、スタートアップしてからも多少は手をかけて熱意の炎をメンテする必要がある」ということ。たき火では薪を追加でくべたりとか、灰を捨てたりとか、薪の配置を変更したりする必要があるように。人間も配置換えしたりとか、インセンティブ設計変更したりとかする必要がある。あとはスタートアップ時点まではリーダーや社長が頑張ればよかったけど、そのフェーズが終われば以降はそれ以外の人間からもどんどん意見やアイデアが出て、広がっていくフェーズに移行していってほしいよね。これもたき火に似ていて、最初は着火剤に頼ってもいいけれど、いつまでも着火剤に頼るわけにいかない、など。

…なんて考え事をするのは自分の性分なのでいいけれど、せっかくの旅行なので十和田湖のほとりに座って、持ってきた水彩絵の具で湖をスケッチしてみた。初めての屋外水彩スケッチ。(嘘かも、高校で美術の時間にやったような) 絵は恥ずかしいので写真を載せます。 その後はレンタカーを少し走らせて、灯と楓という山奥の小さな宿に宿泊。ご主人の焼いてくれる焼鳥で地酒をいただきました。(昨日は飲めなかったからね!)

4日目(8/5)

夜2時、暑さと、酔いが覚めたので目も覚めてしまった。ぼうっと今回の旅を振り返る。あえてスマホを置いてきてみたけど、それでもマインドフルにはなりきれなかったなー。目の前のことに集中するのではなく、過去のことを思い出したり、明日や将来のことを考えたり、あるいは本を読んでみたり。「いま、ここに集中する」「目の前のことを楽しむ」のは自然にはできないことなのだなと改めて思った。多少瞑想やったことあるから、「あー、いま目の前のことに集中できてないな」って気づくことは頻繁にあったけれど。あとは食事の時に料理に集中できたことに関しては、スマホおいてきて正解だと思った。

この日の朝ご飯は、湯豆腐+郷土料理の「かっけ」をいただきました。「かっけ」はラザニアみたいな見た目と素材と味。味噌だれでいただいたけど、ミートソースも合うと思う。絶対。

4日目はお土産買って、レンタカー返しておしまい。帰りがけに、ふかわりょうさんの「スマホを置いて旅したら」を購入。帰ってきた感想は「帰ってきてしまった・・・」って感じ。日常に戻ってしまう感じがして、電源を入れたくない。電源をいれたらこの旅はおしまい。

スマホなしの感想

全体を通して全く苦にならなかった。困ったこともほとんどなかった。

スマホがないおかげで目の前のことに少しは集中できて、読書もはかどった。自分はもともとそんなにスマホに依存はしていないけれど、ふだんスマホに邪魔はされているんだなーというのが全体の印象。スマホがないとわかっているので事前にある程度(結構きっちり目に)調べて計画立てて行くことになった。これがうまくいって現地ではスマホで追加で調べる必要がなかった。

電車が遅れるなどトラブルが発生したらめっぽう弱そう。(まあその場合はスマホがあっても困ると思うけど…) 何かあってもすぐに連絡がとれないため、レンタカーで十和田道を走っている間が一番無防備だった。アウトドア系の旅行をする際は気をつけた方がいいかも。どこにでもというわけではないけれど、割と公衆電話は今でも残ってるので都市部では電話しようと思えばすぐできるはず。 あとは町中を歩くのにGoogleMapにかなり頼っているんだなと改めて知った。目的地の方向がわからないことが何度かあった。

本を持って行ったおかげで退屈はしなかったけど、本読んでいる時間が多すぎたような気もする。でもまあ電車の中と、寝る前くらいに限定したからまあいいかな。もしラジオを持って行っていたら?これはちょっと難しい問いかもしれない。結局イヤホンで自分の世界に入ってしまうのがデメリットだが、現地局の情報を仕入れられるので旅行している感覚は増しそう。実際、今回カーラジオで「今日はねぶた祭ですね」なんてしゃべっているのを聞いて青森に来たことを実感したし。 もし本気で文明から身を置きたかったら、時計を手放すのが一番良さそう。でも電車で旅行するなら時計からは縁を切れないし。民泊で巣ごもり読書会とかすれば時計不要にできるかな。

どこかにビューーン!の感想

どこかにビューーン!に関しては、行き先が決まってしまえばあとは普通の旅行。ランダム旅として楽しむならあまり調べず宿もその場で予約、みたいなやり方もあるとは思う。それだと今回のようなねぶた祭りに出会うこともできなかったかもしれない。あと本当に宿の予約を取るのが困難だったので、行き当たりばったりだと最悪野宿になりかねないのであまりおすすめはできないかな。。

今回読んだ本

*1:JR東日本がやっているポイントサービス。電車に乗ったりするとたまるほか、ビューカードというクレジットカードを使うと町中でもポイントがたまる

*2:6000円相当の買い物に利用可能

*3:資本主義がなければ人は生産性をアップさせようとしない。コテンラジオ「お金の歴史」編より