思索日記

本を読んで思ったことを書いてます。

さびしさ、欲望および自己実現の一般理論

2021年の秋、私の大好きなPodcast番組であるコテンラジオが 性の歴史 という大変興味深いシリーズを公開しました。 私はサピエンス全史 以来、常識が揺らぐタイプの知的好奇心を追い求めていたため、このシリーズにはどハマりしたのですが その後のコテンラジオ番外編でAV監督・二村ヒトシ氏をゲストに招いた回があり、こちらも大変面白かったので自分なりに一生懸命理解し、 自分なりの解釈や整理や他の書籍からの情報収集を行った上でアウトプットしたものがこの記事です。

本記事では 社会的欲求 について取り扱います。 「欲望について」 でも社会的欲求について少し触れましたが、 今回は社会的欲求についてもっと掘り下げて考え、 自身の社会的欲求をエネルギーとして捉え、前向きに発散することでみんなで幸せになれる ことを主張してみたいと思います。

そういうわけで、今回の記事は普段と違って、単一の書籍を読んで紹介したり要約したり感想を述べたりするものではありません。 (主要な参考文献として二村氏の書籍やコテンラジオの番組を使っています。最後にまとめて掲載しています)

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心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える [要約]

練習を兼ねてグラレコ風にまとめてみました。

奥付

欲望とのつき合い方 [ウィリアム・B・アーヴァイン「欲望について」本紹介・読書感想/後編]

この記事は 欲望について [本紹介・読書感想/前編] の続きです。先に前編をお読みになることを想定した内容になっています。


前編では、本書の紹介とざっくりとした内容について説明を僭越ながらさせていただきました。 この後編では、本書を読んで気になったことや、欲望・快楽・幸福の関連性について自分の考えを書いてみようと思います。

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欲望について [本紹介・読書感想/前編]

「欲望について」はタイトルの通り、人間の欲望について語った本です。約半分は心理学・生物学的な側面から、もう半分は哲学・宗教的な側面から語っていて、バランスがいいのが特徴です。 多角的な分析により知的好奇心がくすぐられるし、見る視点は違っても似たような結論が見えてくるので人生の大切なことがわかってくる感覚が得られます。 著者のウィリアム・B・アーヴァイン氏は哲学の教授で、哲学ぽいトピックを扱ってはいるものの内容は哲学に限らないので難しく考えずぜひ読んでみてほしいです。

今回本当にいい本で、これまで読んだ中でトップクラスでよかったかもしれない!!サピエンス全史ファスト&スローのような目から鱗の驚きはなかったけれど、 人生においてとんでもなく重要なことを平易に語ってくれているのがなにより良かったです。

人生において超重要なことを言っているので読んで

多くの悩みになんらかの欲望、特に社会的欲望が関わっているので、苦しい・辛いと感じるほとんど全ての方に本書をおすすめできます。 他人が羨ましい、惨めな気持ちになる、嫉妬する、頑張るのが辛い・・・そういった苦しい感情の手放し方のヒントがたくさん本書に散りばめられています。 本書の後半では、そういった苦しい感情を手放した方法の具体的な実例をあげて解説してくれています。

気になった人はぜひ読んでほしいという思いもあるけれど、それ以上に内容が重要すぎるのでとりあえず本記事だけでも読んでほしい! ちなみに本書は2022年3月現在電子書籍化されておらず、表紙デザインはややかためで哲学然としているため手に取りづらいかもしれないですね。 しかし意外にも文体は固すぎず難しすぎることはなく、かといってカジュアルすぎるということもないので万人に対しておすすめです。

まとめ:欲望に関する重要な3つの点

本書を読んで、欲望に関して重要な点を3つに絞って要約してみました。(本書内でのまとめではなく個人的な意見としてのまとめです)

  • 自分が欲望を生み出すのではなく、情動が欲望を生み出して自分を動かしている。
  • 欲望の一種である社会的欲望は特に身の回りに溢れているが、ネガティブな側面が多い。
  • 認知的適応という心理的な現象により、欲望を満たし続けることはできない。今あるものに満足することが幸せへの最短ルートであることを知れ。

今回とてもいい本で、愛着も湧いたのでしっかり解説してみます。長くなったので前編と後編に分けました。(分けても長い)
前編は主に本の内容の紹介、後編は主に自分の感想や意見としています。

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2021年に読んだ本

2021年はインプットを重視していたので読書感想を全然書けませんでしたが 読んだ本の記録だけはつけておきますー

1. 「幸せをお金で買う」5つの授業

著者: エリザベス・ダン

tomato10.hatenablog.com

2. 仕事は楽しいかね?

著者: デイル・ドーテン

コテコテの自己啓発本。あまり好みではなかったし印象にも薄い

3. デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義

著者: マイク・ヴァイキング

tomato10.hatenablog.com

4. 心理学でわかる ひとの性格・感情辞典

監修: 渋谷昌三

自分の性格についてあまり知らないなと思って、何か性格診断的なものに手をつけてみようとも思ったけど そもそも性格を表す言葉を全然知らないことに気づいたので手に取った。

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5. ポジティブ心理学の挑戦 “幸福"から“持続的幸福"へ

著者: マーティン・セリグマン

人間の幸福について学問的に考える試み=ポジティブ心理学との最初の出会い。 ポジティブ心理学の内容というよりは黎明について語っている本で、若干退屈だったけどなんとか読みきった。 ウェルビーイングの概念をここで知った。

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6. ウェルビーイングの設計論 ―人がよりよく生きるための情報技術

著者: ラファエル A. カルヴォ & ドリアン・ピーターズ

ウェルビーイングについて理解を深めたい・ウェルビーイングの向上をを情報技術によりあまねく広めることはできないか? と考えていたまさにその時に出会ったぴったりの本。 ポジティブ心理学を情報技術的に応用する試み(ポジティブコンピューティング)について紹介する本。

www.amazon.co.jp 個人的にはとても気に入った本だけど、みんな興味あるかと言われると・・・?

7. Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章

著者: ルトガー・ブレグマン

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新刊で出たばかりだったので手に取ってみた。 人との信頼関係はウェルビーイングの重要な要素なのでは?という考えもあったと思う。 性善説を擁護する試みはとても興味深かったけど、エピソードの紹介ばかりで根拠としては弱いなーと思ってしまった。。

8. 快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)

著者: デイヴィッド・J・リンデン

ウェルビーイングを考える際に、身体的な快感・欲望・快楽について考えることからは免れないなと思って読んだ本。 すごく面白かった!紹介書きたい。

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9. 対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖

著者: 大谷 佳子

ウェルビーイングについて理解を深め、身の回りの人間を助けることがもしできるようになったら あるいはポジティブ・コンピューティング的なアプローチで身の回りの人間に対して「介入」することを考えたときに、 他人をうまく助けるための実践的なスキルを身につけておきたいなと思って読んでみた。ハウツー本。

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10. 人を助けるとはどういうことか ― 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

著者: エドガー・H・シャイン

「聴く・伝える・共感する技術」と同様、他人を助ける際に必要なスキルを身につけておこうと思って手に取った本。 全然ハウツー本じゃない! 序盤は心構えや、「人を助けるとは」についてだらだら考える展開が続き、一度期待外れと思って投げた。 その後再トライしてみたら、著者の持論ではあるものの「人を助けるとは」の本質的な内容がしっかりと順序立てて書いてあることに気づいて結構すらすら読めた。 これもいずれ本紹介書きたいね。

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11. フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

著者: ミハイ・チクセントミハイ

ファスト&スローを読んだ際に、フローとチクセントミハイの研究についての言及がちらっとあったのでずっと興味があった。 表紙を見てみるとなにやら宗教くさいし、実際内容も宗教くさい部分がちょっとある(笑) そもそも「どういう心理状態を至高のものとするか?」について考える以上、哲学的なテーマに取り組むわけで、宗教とかぶるのは避けられないような。 快楽こそをウェルビーイングだと捉えがちな方には、こういうものも幸せの一つの形なんだなと知るきっかけとして薦めたい本。

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12. フォーカス

著者: ダニエル・ゴールマン

「EQ こころの知能指数」を読みたいなと思って図書館に行ったら開架の棚になかったものの、同じくゴールマン著である本書を見つけたので手に取ってみた。 近代以降、分業によって人間ひとりひとりの能力は下がりつつあり、その中の一つに「注意力を保つ能力」もある ・・・という印象がなんとなくあったのも手に取った理由の一つ。 図書館で読んだだけなので内容をしっかり頭に入れるために買ってまた読み直してもいいかもな。

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13. ミルク進化論 なぜ人は、これほどミルクを愛するのか?

著者: マーク・カーランスキー

テーマ史が読みたくて図書館で借りた本。 人間が動物の乳を利用し始めた最初の形が生乳ではなくヨーグルト・バター・チーズである みたいなトピックとか。 久しぶりに世界史勉強すると面白い!

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14. 「豊かさ」の誕生 成長と発展の文明史

著者: ウィリアム・バーンスタイン

世界史もっと勉強したいなと思ったのもあるけど、 ウェルビーイングと経済的・物質的な豊かさの関係について考えたくて、その基礎知識をつけておきたくて買った本。 2021年中には読み終わらなかったけど、2022年に入ってすぐ上巻完走して下巻も1月中に完走できた。 最後の方でちょびっとだけ「豊かさと幸せの関係」について述べられているけど、 あくまでも中心的なトピックは「繁栄に必要な4つの社会制度」について。

読んでいる途中でコテンラジオの「資本主義」の回が始まって、本当タイミングいいなと思った!

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ポスト資本主義を考える上で、資本主義の特徴・利点・歴史について知っておくのはとても役に立ちそう。

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2022年もウェルビーイング関連の本をたくさん読むつもりです。 それに関連して、最近はポスト資本主義にも興味があるのでそちらにも手を出していきたいと思っています。

デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義

デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義』は、デンマーク幸福研究所の所長であるマイク・ヴァイキング氏による2018年日本語版出版の本です。本書では、幸福とはなんなのか?定義できるものなのか?どうやって幸福を測るのか?などの幸福研究の成果や過程を紹介しています。

本書を手に取ったきっかけ

「サピエンス全史」「ファスト&スロー」「幸せをお金で買う 5つの授業」の流れで、幸せについて既に判明している研究成果について知りたくて図書館に行ったら本書と出会いました。

以下では、本書を読んで印象に残っている箇所について短めに2点だけ書いてみます。

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「幸せをお金で買う」5つの授業

『「幸せをお金で買う」5つの授業』は、心理学者のエリザベス・ダン氏とハーバードビジネススクール准教授のマイケル・ノートン氏による、2014年の本(日本語版)です。 本書はお金を使って幸せを買う方法、別の言い方をすると お金から効率よく幸せを引き出す方法 について、レクチャー形式で書いています。 ハウツー本なので読んだ人向けではなく、「これから読んだらいいんじゃないかな」という推薦の気持ちで本を紹介していきます。

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